PA現場や自宅スタジオなどで安定した電源供給を実現するために使用される「パワーディストリビューター」。
過電圧の遮断やノイズフィルタリングといったメリットがありますが、機材の組み合わせによっては逆にリスクになるケースがあります。
本記事では、パワーアンプとの適切な電源管理と、FURMAN/DJI POWER 2000といった選択肢の比較を軸に、実用性のある判断基準をまとめます。
パワーアンプにパワーディストリビューターは要注意
一般的なパワーディストリビューターは 最大15A出力 のモデルが主流です。
一方で、ライブ用途のハイパワーアンプは突入電流が30Aを超える場合があります。
この条件下で15A仕様のディストリビューターを経由すると、本番中にブレーカーが作動して電源が遮断されるリスクがあります。
例:15Aディストリ+30A級アンプ → 突入電流でシャットダウン
電源管理の面ではパワーディストリビューターを使うことが多いですが、パワーアンプの電源供給にはパワーディストリビューターを使わない方が良いこともあります。
アンプ用途には「瞬間電流供給能力」で選ぶ
安定化だけでなく、瞬間的な電流需要(突入電流)に対応できるかは重要な選定基準です。
FURMAN P-1800 PF R J の特徴
- 瞬間45A以上の電流供給能力(パワー・ファクター回路搭載)
- 電力を一時的に蓄え、必要なタイミングで放出する設計
ただの「ノイズフィルタ付き電源タップ」という位置付けではなく、
“電源バッファとして機能する機材” と理解する方が正確です。
コスト面の課題:FURMANの価格高騰
FURMAN P-1800 PF R Jは性能面では優れていますが、近年の市場変動により価格が大幅に上昇しています。
- 過去:定価99,000円(実売8万円台)
- 現在:定価が倍以上に上昇(実売14万円クラス)
代替案としての「DJI POWER 2000」|可搬型電源システムという選択肢
技術革新により、大容量ポータブル電源の出力性能が向上しています。
中でも DJI POWER 2000 は 最大25A出力 + UPS機能搭載 という仕様により、
パワーディストリビューターとUPSの機能を1台に集約できる選択肢として評価できます。
DJI POWER 2000 の導入メリット
- 25A対応で、一般的なディストリビューターの15A仕様の制限を回避
- UPS機能により、ブレーカー落ち時もバッテリー供給で音を維持
- FURMANがラック固定を前提としているのに対し、DJIは可搬前提設計
- 屋外PA・仮設ステージ・自宅スタジオなど、環境をまたいで転用可能
“電源バックアップ” と “移動型電源” を兼ねるため、機材資産としての汎用性が高い
結論:アンプ電源の安定化は「用途別の電源設計」が前提
結論:アンプ電源の安定化は「用途別の電源設計」が前提
| 機材タイプ | 推奨電源機器 | 備考 |
|---|---|---|
| ミキサー・プロセッサー | 15Aクラスのディストリビューター | ノイズフィルタ重視 |
| ライブ向けパワーアンプ | FURMAN P-1800 PF R J | 瞬発電流45A以上 |
| 可搬型/複数設備併用 | DJI POWER 2000 | UPS兼用/運用柔軟性 |
電源機材は“安全装置”というより、“運用設計の一部”として選ぶことが重要です。
本記事の要点を踏まえて、用途に応じた電源設計を検討してみてください。

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