「できるだけ安くワイヤレスマイクを導入したい」
そんな方が候補にしやすいのが、iCON Pro Audio WM3.2/WM3.1です。
安価なワイヤレスマイクはAmazonなどでも数多く販売されていますが、購入前に確認しておきたいのが日本国内で合法的に使用できる製品なのかという点。
WM3.2は
- 800MHz帯
- 技適マーク付き
- 国内代理店取り扱い

という、日本国内で安心して使用しやすいワイヤレスマイクです。
しかも価格は1万円台。
今回は実際に購入し、音質だけでなく電波・充電・受信機の構造までチェックしました。
さらに同じく低価格帯で候補になりやすいJBL PartyBox Wireless Micも実際の現場で使用したので、両者の違いも後半で比較します。
「自宅カラオケならどっち?」「イベントやPAならどっち?」という方は、ぜひ購入前の参考にしてください。
WM3.2の基本仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | iCON Pro Audio |
| 型番 | WM3.2 |
| 周波数帯 | 800MHz |
| 技適 | あり |
| 選択可能チャンネル数 | 15 複数本使用時は隣接チャンネルを避ける必要があります。WM3.1は7本、WM3.2は14本までが実質上限と案内されていますが、使用環境によって同時使用可能数は変わります。 |
| 最大接続範囲 | 50m |
| 最大動作時間 | 送信機:5~10時間 受信機:最大6時間 |
| 寸法 | マイク:25cm×4.9cm×4.9cm 受信機:11.1cm(アンテナ込み約18cm)×2.4cm×3.2cm |
| タイプ | ハンドワイヤレス |
| 価格 | 約15,000円 |
1万円台で800MHz帯・技適付きというところが、この製品最大の魅力です。
日本の電波法に適合しているか実測
低価格ワイヤレスマイクを購入するときに、個人的に一番気になるのが「本当に国内向けの周波数で送信しているのか?」という部分です。
そこで実際にスペクトラムアナライザーで測定してみました。
確認できた周波数は約807.6MHz。

実測でも800MHz帯で送信されていることを確認できました。
イベントやレンタルで人に貸し出す機材だからこそ、この部分を確認できたのは大きいです。
外観レビュー|マイク本体は想像以上にしっかり
まずマイク本体。
実際に触ってみると、想像以上に質感が良いです。
ボディはおそらくアルミ製で、安価なワイヤレスマイクにありがちな「おもちゃ感」はあまりありません。


レンタル機材としてお客様へ渡しても、見た目から不安を感じるような製品ではありません。
ただし、マイクグリルには転がり防止のギザギザがありません。

グリルボールも長めなので、一般的なグリルへの交換は難しそうです。
その代わり転がり防止リングが付属しているので、イベントで使用するときは装着しておくことをおすすめします。
受信機は価格相応
一方、受信機は正直なところ価格なりの質感です。

プラスチック製でかなり軽量。
ラックへ組み込むような本格的なワイヤレスシステムとは方向性が違いますが、
- ポータブルPA
- バッテリースピーカー
- 地域イベント
- 自宅カラオケ
といった用途には、この軽さがメリットにもなります。
レンタル用途なら受信機の直挿しに注意
WM3.2の受信機は、フォンジャックへ直接挿し込むタイプです。
設置は非常に簡単なのですが、レンタル機材として考えると大きな弱点があります。

この状態で受信機へ横方向から力が加わると、プラグや受信機を破損する可能性があります。
そのため当方では、短い延長ケーブルを挟んで使用する方法をおすすめしています。
衝撃をケーブル側へ逃がせるので、イベントやレンタル用途では安心です。
操作はかなり簡単
マイク側で操作できるのは主に

- 電源
- チャンネル変更
- ボリューム
これだけ。
受信機側はさらにシンプルで、電源ボタンのみです。

マイク側でチャンネルを変更すると、受信機が自動的にペアリングしてくれます。
難しい設定が必要ないので、初めてワイヤレスマイクを購入する人には非常に分かりやすい設計です。
ただし、この自動ペアリングが業務用途では注意点にもなります。詳しくは後述します。
音質レビュー|SOUNDPUREとも比較
業務用途で使用しているSOUNDPUREワイヤレスマイクとも比較してみました。
結論から言えば、音質差はあります。
SOUNDPURE
→ 中高域がしっかりしていて、声の抜けが良い
WM3.2
→ 比較すると少しこもり気味
ただ、価格はSOUNDPUREが約6万円に対して、WM3.2は約1.5万円。
この価格差を考えると、WM3.2はかなり健闘していると思います。
ライブボーカルの音質を最優先するなら上位機種をおすすめしますが、
- 司会
- スピーチ
- 地域イベント
- カラオケ
といった用途なら、十分実用的な音質です。
JBL PartyBox Wireless MicとWM3.2を比較
WM3.2を検討している方が、もう一つ候補にしやすいのがJBL PartyBox Wireless Micです。
JBLはマイク2本+受信ドングルという非常に分かりやすい構成で、特に自宅カラオケやPartyBoxとの組み合わせでは魅力的な製品です。
| 比較 | iCON WM3.2 | JBL PartyBox Wireless Mic |
|---|---|---|
| 主な用途 | 簡易PA・イベント・レンタル・カラオケ | 家庭用・カラオケ・PartyBox |
| 周波数帯 | 800MHz帯 | 2.4GHz帯 |
| 最大通信距離 | 50m | 30m |
| マイク本数 | モデルにより1本/2本 | 2本 |
| チャンネル | 手動変更可能 | 自動選択 |
| マイク動作時間 | 5~10時間 | 最大20時間 |
| 受信機 | 最大6時間 | 最大12時間 |
| 向いている人 | PA機材として運用したい人 | 簡単にカラオケを楽しみたい人 |
家庭用ならJBLはかなり使いやすい
JBL PartyBox Wireless Micの良いところは、何といっても簡単なことです。
難しい周波数設定を意識する必要がなく、PartyBoxなどへ受信機を接続すれば、家庭でも気軽にワイヤレスマイクを使えます。
バッテリー持続時間も長いため、自宅カラオケを中心に考えるならJBLはかなり魅力的です。
ただしイベント現場でJBLを使って焦ったことがある
一方で、個人的にPA現場ではWM3.2の方が扱いやすいと感じた出来事がありました。
以前、会場備品としてJBL PartyBox Wireless Micを使用する機会がありました。
セッティング時には正常に音が出ていたのですが、しばらくマイクを使用せず本番直前に電源を入れたところ、
「マイクの電源は入っているのに音が出ない!」
という状態になりました。
ケーブルやミキサーを確認しても異常なし。
最終的に受信機を確認すると、受信機側のランプが消えていました。
受信機を再度起動すると無事に復帰。
家庭で使う場合には、使っていない時間にバッテリーを節約できる便利な動作だと思います。
しかしPA現場では、
- リハーサル終了
- 30分~1時間待機
- 本番直前にマイクをON
という運用は普通にあります。
そのタイミングで「音が出ない」となると、原因が分かっていてもかなり焦ります。
この経験から、家庭用として便利な機能と、現場で便利な機能は必ずしも同じではないと感じました。
PA用途ならWM3.2を選ぶ理由
WM3.2にも後述する自動ペアリングという注意点はあります。
ただ、PA用途で考えた場合は
- 800MHz帯を使用
- チャンネルを自分で変更できる
- 電池交換ができる
- 一般的なミキサーやPAスピーカーと組み合わせやすい
という点が扱いやすいです。
家でカラオケ中心ならJBL。
イベントや簡易PAでも使いたいならWM3.2。
この選び方が、一番分かりやすいと思います。
【重要】WM3.2は自動ペアリングにも注意
WM3.2にも業務用途なら知っておきたい注意点があります。
受信機側でチャンネルを固定できません。
受信機は電波を検出すると自動的にペアリングします。
例えば、
- 隣の会場
- 別フロア
- 同じ学校内
で同じ機種を使用している場合、電源ON/OFFのタイミングによっては意図しない送信機を拾う可能性があります。
そのため複数のワイヤレスマイクが使われる現場では、一度ペアリングした後はマイク本体の電源を頻繁に切らず、ミキサー側でミュートする運用をおすすめします。
電池を交換できるのは大きなメリット
WM3.2はマイク・受信機ともに充電池対応です。
使用されているのはIMR18650 2300mAh 3.7V。

内蔵バッテリーではなく交換できるため、予備電池を用意しておけば
- 長時間イベント
- 突然のバッテリー切れ
- バッテリー劣化
にも対応しやすくなります。
長期間使うことを考えると、これは個人的にかなり評価したいポイントです。
充電しながら使用できる?
実際に試したところ、充電器によってはノイズが入ります。
ノイズが確認できた組み合わせ
- Anker PowerPort 5
- CLASSIC PRO UAL012CB

一方、
- BELKIN BOOST↑CHARGE PRO
- Anker 310 USB-Cケーブル
の組み合わせではノイズは確認できませんでした。
※ノイズの有無は使用する電源や接続機器によって変わる可能性があります。
受信機はバッテリー無しでも動作した
「自宅カラオケで常時バッテリーを充電しながら使うのは少し怖い」という方もいると思います。
そこで受信機から電池を外し、USB-C給電だけで動作するか試したところ、問題なく使用できました。

イベントだけでなく、自宅カラオケなど据え置きで使用する場合にも便利です。
最大何本まで同時使用できる?
国内輸入代理店の案内では、WM3.2は14本までが実質上限とされています。

ただし、実際に14本を安定して同時使用できるかについては別問題だと考えています。
スペクトラムアナライザーで確認した限りでは、特別に占有帯域が狭いわけではありません。

個人的には、余裕を持って運用するなら6チャンネル前後から慎重に検証したいところです。
この価格帯で多数のワイヤレスマイクを使用できれば非常に魅力的なので、今後追加で検証できれば記事も更新します。
結局、JBLとWM3.2どちらを買うべき?
ここまで使ってみた印象では、どちらか一方が完全に上というより用途が違う製品です。
JBL PartyBox Wireless Micがおすすめの人
- 主に自宅カラオケで使う
- JBL PartyBoxを持っている
- 2本セットで簡単に使いたい
- 細かい周波数設定をしたくない
- 長時間使えることを重視したい
この用途なら、JBLの分かりやすさは大きな魅力です。
「家で電源を入れてすぐ歌いたい」ならJBLを選ぶ方が分かりやすいと思います。
iCON WM3.2がおすすめの人
- 簡易PAでも使用したい
- 地域イベントや学校行事でも使いたい
- 800MHz帯のワイヤレスを安価に導入したい
- チャンネルを自分で選びたい
- バッテリーを交換しながら長く使いたい
- 将来的にレンタルやPA用途にも使いたい
特に「家庭用だけで終わらず、イベントでも使う可能性がある」という方にはWM3.2をおすすめします。
結論|1万円台のPA用ワイヤレスとしてWM3.2はかなり面白い
WM3.2を実際に使ってみた結論は、「弱点を理解して使えば、かなりコストパフォーマンスが高い」です。
もちろん、SOUNDPUREやSHUREなどの業務用ワイヤレスと比較すれば、音質・受信機の堅牢性・運用の自由度では差があります。
しかし約1.5万円という価格を考えると、
- 技適付き
- 800MHz帯
- チャンネル変更可能
- 交換可能な18650バッテリー
- USB-C給電対応
- 一般用途なら十分な音質
と、かなり魅力があります。
自宅カラオケだけならJBL PartyBox Wireless Mic。
簡易PA・イベント・レンタルまで考えるならiCON WM3.2。
個人的には、このように用途で選び分けるのがおすすめです。
福山DTM WorksではWM3.2を実際にレンタル機材として運用しながら検証しています。
「いきなり購入するのは不安」「自分のPA機材で使えるか試してみたい」という場合は、レンタルで実際に試してから購入を検討するのもおすすめです。


