SOUNDPURE 8011IIを3年間使ったレビュー|激安ワイヤレスとは一線を画す実用機

5.0
音響
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SOUNDPURE(サウンドピュア)8011Ⅱを導入してから、約3年が経ちました。

購入したのはハンドマイク2本と2チャンネル受信機のセット。当時の購入価格は4万円強で、これまで司会や屋外イベントを中心に多数の現場で使用しています。使用場所の6割ほどは屋外です。

先に結論を言うと、8011Ⅱは一般的な激安ワイヤレスマイクとは一線を画す、現場で使える低価格B帯ワイヤレスだと感じています。過去に別の低価格帯ワイヤレスを現場へ投入し、安定性の面で痛い目を見た経験がありますが、8011Ⅱはそれより明らかに安心して運用できています。

この記事では、カタログスペックを並べるだけではなく、音響の仕事で約3年間使って分かった音質、安定性、操作性、弱点を率直にレビューします。

SOUNDPURE 8011Ⅱとは

8011Ⅱは、800MHz帯のB帯を使用するSOUNDPUREのワイヤレスハンドマイクです。厳密には「8011Ⅱ」が送信機で、私が使用している2チャンネル受信機の型番は「SP-W-H01」です。

B帯ワイヤレスは免許や申請が不要で、対応する周波数と出力を守れば日本国内で使用できます。8011Ⅱは単3電池2本で動作し、受信機側ではRFレベル、音声のAFレベル、マイクの電池残量を確認できます。

公式仕様では最長100mとされていますが、これは使用環境によって変わる最大値です。実際の現場では、距離だけでなく、人体や金属による遮蔽、アンテナの高さ、周囲で使用されているワイヤレスの周波数などが安定性を左右します。

主な仕様は、メーカー公式ページで確認できます。

SOUNDPURE 8011Ⅱ 製品情報(メーカー公式)

3年間使ったSOUNDPURE 8011Ⅱの総合評価

評価項目 実際に使った印象
音質 価格以上。細さが少なく、低域に量感がある
通信の安定性 小規模PAでは十分実用的。激安機より明らかに安定
屋外運用 アンテナを移設できる点は有利。ただし約30mでノイズが出た経験あり
操作性 周波数設定は簡単。押しボタン式電源は初見で分かりにくい
状態確認 RF・AF・電池残量を受信機で確認できる
多波運用 2〜4波は現実的。スキャンやカスケード機能がなく、6波は手間が増える
本体の質感 アルミ合金製で安っぽさがなく、3年間接触不良なし
コスト 低予算でB帯を複数波そろえたい人には魅力的

8011Ⅱの立ち位置をひと言で表すなら、激安機の不安を避けつつ、上位システムほどの予算をかけられないときの現実的な選択肢です。

価格だけを見れば低価格帯ですが、PA現場へ持ち込むこと自体をためらうような製品ではありません。一方で、スキャンや一括監視といった高度な管理機能はないため、用途と現場を選んで使う必要があります。

8011Ⅱを購入した理由

導入理由は、屋外や広めのステージで使えるワイヤレスマイクを、無理のない予算で複数波そろえたかったからです。

2.4GHz帯のワイヤレスは手軽ですが、Wi-FiやBluetoothなど多くの機器が同じ帯域を使います。来場者が多いイベントや屋外現場まで考えると、2.4GHz帯だけで運用することに不安がありました。

もちろん、SENNHEISER EW-Dのような上位システムを複数波そろえられれば理想的です。しかし、受信機、送信機、アンテナ周辺機器まで含めると予算は大きくなります。

8011ⅡはB帯で、受信アンテナを受信機から離れた場所へ設置できます。低予算で2〜4波を導入しつつ、広い会場ではアンテナの位置を工夫できる。この点が購入の決め手になりました。

音質は価格以上。安価なワイヤレス特有の細さを感じない

8011Ⅱを初めて鳴らしたとき、良い意味で予想と違ったのが音質でした。

低価格なワイヤレスマイクには、声が細くなったり、高域だけが目立ったりする製品もあります。8011Ⅱはそのような印象が少なく、低域に量感があり、ずっしりした声になります。

定番のSHURE SM58とは音の方向性が異なり、個人的にはSENNHEISERのマイクを思わせるクリアさがあります。もちろん、同社の上位機種と同等という意味ではありませんが、「低価格だから音質もそれなり」とは感じません。

司会用マイクとして使った現場では、実際に司会者からマイクの音を褒められたこともありました。スピーチやアナウンス用途では、声に厚みが出る点が好印象です。

一方で、低域が豊かなぶん、会場や話者によってはローカットを入れた方が扱いやすくなります。私はミキサー側でローカットを使うことが多いです。また、ハンドリングノイズは少し気になります。マイクを頻繁に持ち替える用途では、事前に触り方も確認しておくと安心です。

激安ワイヤレスより明らかに安定している

私が8011Ⅱを評価している一番の理由は、単に価格が安いからではありません。以前使った別の低価格帯ワイヤレスより、明らかに安定しているからです。

その製品では、実際の現場で通信の安定性に悩まされました。ワイヤレスマイクは、スペック表だけでは現場での安心感まで判断できません。本番で一度でも不安定な挙動が出ると、その後はマイクが離れるたびにRFメーターを気にしながらオペレートすることになります。

その経験があるからこそ、8011Ⅱを「安いだけの製品」とは考えていません。約3年間、2波を中心に司会やイベントで使ってきましたが、通常の小規模PAであれば十分に実用的です。本体の質感、受信状態の表示、外部アンテナへの対応まで含めて、よくある激安ワイヤレスとは一段違います。

ただし、ここでいう「安定している」は、どのような現場でも絶対に音切れしないという意味ではありません。次の屋外事例のように、距離や設置条件によって不安が出たこともあります。

屋外約30mで、ときどきノイズが出た

ガーデンウェディングで使用した際、新郎が受信位置から約30m離れる場面がありました。

受信アンテナは受信機の裏に付けたままではなく、ホイップアンテナをマイクスタンドへ移設。できるだけステージを見通せる位置へ設置していました。それでも、約30m離れた場面では、ときどきノイズが発生しました。

常に使えないほど不安定だったわけではありません。むしろこの価格のワイヤレスマイクでは時折ザザッというのは想定の範囲内です。

公式には最長100mとされていますが、実用距離は会場条件によって大きく変わります。人体、金属製のステージ、客席、アンテナの高さ、周囲の電波など、現場には多くの変動要素があります。

このとき、指向性のあるアクティブアンテナを使っていれば改善した可能性はあります。ただし、実際に同じ条件で比較したわけではないため、断定はできません。

私の評価は「8011Ⅱは30mで使えない」ではなく、ホイップアンテナを移設しても、屋外30mを絶対安心とは感じなかったです。広い会場で使う場合は、本番前に実際の動線を歩きながら確認することをおすすめします。

外部アンテナ対応は、広いステージや屋外で大きなメリット

屋外30mでノイズが出た経験はあるものの、受信アンテナを移設できること自体は8011Ⅱシステムの大きなメリットです。

ワイヤレスマイクの受信は、単純な距離だけでは決まりません。受信機をラックへ収めると、アンテナがケースや他の機材に囲まれ、ステージを見通せないことがあります。

外部アンテナに対応していれば、BNCケーブルを使ってアンテナをラックの外へ出し、人の頭より高い位置や、送信機を見通せる場所へ設置できます。特に広めのステージや屋外イベントでは、この自由度が効いてきます。

私は受信機2台をラックへ組み込み、アンテナ分配器を経由して、BNC端子をラックパネルへ移設しています。ラックの具体的な加工方法と配線は、別記事で詳しく紹介する予定です。

アルミ合金製で質感は良いが、やや重い

マイク本体はアルミ合金製で、手に持つとずっしりしています。電池を除いたメーカー公称重量は336gです。

軽量なマイクに慣れている人は重く感じるかもしれませんが、これまで司会者から重さを指摘されたことはありません。むしろ、低価格製品にありがちなプラスチックの頼りなさがなく、業務用らしい質感があります。

押しボタン式の電源は、初めて使う人に伝わりにくい

操作面で気になるのは、押しボタン式の電源です。

普段から機材を扱う人にとっては難しくありませんが、初めてマイクを手にする司会者には、電源が入っているのか、切れているのかが直感的に分かりにくいようです。現場で電源操作を聞かれたこともあります。

マイク側でミュートできるのは便利です。ただし、慣れていない利用者が誤ってミュートする可能性もあるため、必要に応じてミュートをロックして渡した方が安全です。

司会者や出演者へ一時的に渡す用途では、オン/オフの位置が見た目で分かるスライドスイッチ式の方が、状態を判断しやすいと感じます。

RF・AF・電池残量を受信機で確認できる

受信機の画面では、RFレベル、AFレベル、マイクの電池残量を確認できます。

  • RF:マイクから届く電波の受信レベル
  • AF:マイクへ入力された音声のレベル
  • 電池残量:送信機に入っている電池の状態

音が出ないときに、電波が届いていないのか、マイクへ音が入っていないのかを受信機側で切り分けられるのは便利です。低価格帯でありながら、現場で必要な状態をひと通り確認できます。

電池については、私は新品アルカリ電池を毎現場入れています。電池寿命の限界まで使う運用はしていないため、「何時間まで確実に使えるか」という検証はしていません。

これは8011Ⅱに限りませんが、本番で使用するワイヤレスマイクは、まだ残量があるように見えても新品へ交換する方が安心です。受信機の残量表示は、交換を省くためではなく、想定外の減り方をしていないか確認する用途として使っています。

周波数設定は簡単。ただし自動スキャンはない

受信機とマイクの周波数設定そのものは簡単です。基本的な操作で迷うことはありませんでした。

一方、周囲の空き周波数を自動的に探すスキャン機能は搭載されていません。

今では手動設定にすっかり慣れていますが、初めてワイヤレスシステムを使用される方は自動設定があったほうが楽なのは否めません。

また、受信機同士を接続してチャンネル情報を渡すカスケード端子もありません。受信機を複数台並べ、アンテナを共用する場合は、別売りのアンテナ分配器が必要です。

2〜4波なら現実的。6波以上は上位機種も検討したい

私が8011Ⅱをおすすめしやすいのは、2〜4波程度の運用です。

この範囲であれば、価格、音質、受信状態の確認機能、外部アンテナ対応のバランスが良く、小規模PAに導入しやすいと思います。

6波以上になると、周波数の確認、混信時の再設定、アンテナ分配、複数受信機の監視など、システム全体の管理が複雑になります。多波数を頻繁に使うなら、自動スキャンやネットワーク監視に対応した上位システムへ予算を振る意味が大きくなります。

また、他メーカーのB帯ワイヤレスとの混在は、メーカーごとの推奨グループや使用周波数を確認せずに判断できません。重要なマイクだけ上位機種に置き換える場合も、単純に空いている表示チャンネルを選ぶのではなく、システム全体で周波数を設計する必要があります。

SOUNDPURE 8011Ⅱをおすすめできる人

  • 低予算でB帯ワイヤレスを2〜4波そろえたい人
  • 小規模PAを始めた個人事業主やセミプロ
  • 2.4GHz帯からB帯へ移行したい人
  • 司会やスピーチ用として、声の厚みを重視する人
  • 広めのステージや屋外イベントで使いたい人
  • アンテナを見通しの良い場所へ移設したい人
  • 激安ワイヤレスより一段上の安定性を求める人

特に、上位の業務用システムを一度に複数波導入するのは難しいものの、安定性に不安がある激安機へ戻りたくない人には、検討する価値があります。

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おすすめしにくい人・慎重に使いたい現場

  • 一瞬の音切れも絶対に許されない現場
  • 6波以上を頻繁に運用する人
  • 自動スキャンやPCでの一括監視が必要な人
  • 既設のB帯ワイヤレスが多数稼働しているホテルや宴会場
  • 学校など、既設設備の使用周波数を事前確認できない会場

800MHz帯のアナログワイヤレスは、同じ周波数付近を使う別のワイヤレスがあれば混信する可能性があります。ホテル、宴会場、学校などへ持ち込む場合は、会場設備が使用する周波数を事前に確認した方が安全です。

また、大規模ステージなど、絶対に音切れしたくない場面では、A帯ワイヤレスがベターです。

8011Ⅱと上位ワイヤレスは、優劣より使い分け

8011Ⅱに厳しい条件を付けると、「結局、仕事では使えないのでは」と思われるかもしれません。しかし、私の評価は逆です。

8011Ⅱは約3年間、実際の司会やイベントで使えており、過去に経験した低価格ワイヤレスの不安定さとは明確に違います。音質も価格以上で、通常の小規模PAなら十分に戦力になります。

一方、上位システムには、自動スキャン、多波運用時の管理性、デジタル伝送、ネットワーク監視など、価格差に見合う機能があります。失敗時の影響が大きい現場ほど、その差へ費用を払う価値があります。

つまり、8011Ⅱは「プロ用か、そうでないか」という二択ではなく、案件の重要度と規模に合わせて使い分ける実用品です。

SOUNDPURE 8011Ⅱレビューまとめ

SOUNDPURE 8011Ⅱは、低価格帯でありながら、音質、安定性、状態確認機能、外部アンテナ対応まで備えた実用的なB帯ワイヤレスマイクです。

特に印象に残ったのは、安価なワイヤレスにありがちな音の細さがなく、低域に量感のある声が出ること。そして、以前使った別の低価格帯製品より明らかに安定しており、現場へ持ち出せる安心感があることです。

弱点は、屋外約30mで時折ノイズが出た経験があること、自動スキャンとアンテナカスケードに対応していないこと、押しボタン式の電源が初めて使う人に分かりにくいことです。

それでも、上位機種を何波もそろえる予算はないが、一般的な激安ワイヤレスより一段上を選びたい人にとって、8011Ⅱは有力な購入候補です。

2〜4波程度の小規模PA、司会、屋外イベントを中心に使い、重要度の高い現場では上位システムを選ぶ。この線引きができれば、価格以上に活躍してくれるワイヤレスマイクだと思います。

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