イベントでの拡声や会議でのスピーチで簡易的に使用するスピーカーのセットを「簡易PAセット」といいます。
簡易PAセットと一括りに言っても、種類がたくさんあって選ぶのが大変ですよね。
今回は初心者の方にも分かりやすいよう、音響の基礎的な部分からお話します。
目次
用途に合わせた選定を
最も重要なのが、使用する会場や用途をカバーできる音圧(音量)が出ること
音量の面で考慮したいのが、
- 周囲の音量(賑やかな場所では大きな音圧が必要)
- 反響度合い(反響の多い場所では反響しずらいスピーカー選定が必要)
の2点があります。
その他にも、設営上の注意点として、
- コンセントの有無
- スピーカースタンドの設置可否
も確認しておきましょう。
アンプのワット数はアテにならない
アンプのワット数が大きければ音量も大きいか?というと、そうとも限りません。
ワット数はあくまで参考程度にして、実音量は音を聞いた人の意見を参考にするのがお勧め。
実体験として、
600Wのキーボードアンプよりも
150WのポータブルPAスピーカーの方が音量が大きかったことがありました。
要因は、
- プリアンプが小さい(ヘッドアンプ)
- スピーカーの能率が低い
- 音質特性の違い
など様々あります。
アンプの出力だけでは、その会場に見合ったものか判断ができないので、
初心者の方は特にPA屋さんか、PA事業も行っている楽器店に相談の上、機材選定をすることをお勧めします。
音圧が大きいことによる破損リスク
前項では、600Wのキーボードアンプよりも
150WのポータブルPAスピーカーの方が音圧が大きかった例を出しましたが、
悩ましいポイントがあります。
それは、破損リスクです。
音圧の大きなポータブルPAスピーカーの方が優れているように思いますが、
150WのポータブルPAスピーカーでは
“ツィーターが破損する”
という事例が多数発生しました。
一方の600Wのキーボードアンプでは、破損事例は一例もありませんでした。
あくまで推測ですが、600Wのアンプの方がスピーカーの許容入力のマージンを取っており、壊れにくく、
150WのポータブルPAスピーカーでは、マージンをほとんど取っていない可能性があります。
ツィーターの破損は、主に「突発的な大音量」や「ボリュームの上げすぎ」が原因です。
ボリュームが上げられるからといって、上げすぎるとツィーターが壊れることがあります。
プロのエンジニアは安全マージンを取って運用しますが、
初心者の方はフルボリュームでセッティングしてしまうことがあります。
なお、ツィーターの破損は保証期間内であっても有償修理となることが多く、
安くても1万円、相場で2万円ほどの修理費用がかかってしまいます。
レンタル機材や備品、あるいは初心者の方が使う機材としては、
音圧だけでなくマージンを取ってあるメーカーの製品をお勧めします。
経験則となりますが、下記の2社は修理事例が少ないです。
- YAMAHA
- Roland
この2社は、安全マージンを取っているように思います。
バッテリー内蔵スピーカーのデメリット
バッテリー内蔵スピーカーの人気が高まっていますが、
購入時に意識しずらいデメリットがあります。
それは、ランニングコストです。
バッテリーには寿命があります。早いものでは、1年程でバッテリー交換が必要となることも。
なお、バッテリーの交換費用は2万円〜と安くはありません。
会社や団体の備品で購入する場合は、ランニングコストが問題になるかもしれません。
コンセントが使える場合や、頻繁に使わない場合は、バッテリー無しのポータブルPAスピーカーをお勧めします。
バッテリー無しが良い理由
バッテリーの種類によりますが、バッテリーは長期間使わないと寿命を大幅に縮めてしまいます。
バッテリーは放置が一番良くないです。
年に1〜2回しか使わない という方ほど、バッテリー寿命を迎えることが多いです。
ユーザー視点で考えると1回しか使っていないのに、もう壊れた!となりますが、
逆に1回しか使っていないのがバッテリー故障の原因になることも。
バッテリー内蔵スピーカーを購入検討する際は、使用頻度とランニングコストにご注意ください。
反射音も注意
室内でライブやイベントをする場合、反射音にも注意が必要です。
反響の多い場所では、音量が十分であっても音を聞き取れない場合があります。
地方の駅や野球場でのアナウンスをイメージしてみてください。
音がわんわんと響いて、
音は十分に聞こえるのに言葉として認識しづらい といった印象はありませんか?
反響が多いと、音の了解性が損なわれてしまいます。
反響の軽減はとても難しいのですが、スピーカーで対策することも可能。
反響の多い場所では「ラインアレイシステム」のご使用をお勧めします。
ラインアレイシステムは、指向性の狭いスピーカーをたくさん並べて、
必要なエリアに狙って音を届ける方式です。
簡単に言うと、1つの大きなスピーカーで音を出すのではなく、
複数の小さなスピーカーで音を出す というものです。
まとめ
簡易PAシステムは仕様には現れない要素が多いので、
実際に音を聞いて確かめるか、音を聞いた人の意見を参考にされるを強くお勧めいたします。
PR 簡易PAセットの購入は楽天市場がお勧め!
商品ページの自由度が高く、商品説明が詳しく載っています。
コメント