― 視聴者視点 × 楽器店視点で考える ―
最近、ポッドキャストを日常的に聴くようになりました。
制作側としての視点だけでなく、「聴く側」として音声に向き合う時間が増えたことで、
良い音=高価なマイクではない、という考えがより明確になってきました。
この記事では、
- 視聴者として「聴きやすい音」
- 楽器・音響の現場で見てきた「扱いやすい音」
この2つの視点から、ポッドキャスト向けマイクの選び方を解説します。
高いマイク = 良いマイク、ではない
機材の世界ではよく
「高いものほど音が良い」
と言われがちですが、これは半分正解で半分不正解です。
確かに、あまりに安価なマイクは
- ノイズが多い
- 音が薄い
- 耐久性が低い
といった問題が起きやすいのも事実です。
ただし、一定の価格帯を超えたあたりからは「優劣」ではなく「相性」の問題になります。
・自分の声質
・話し方
・部屋の響き
・番組の雰囲気
これらに合っているかどうかで、評価は大きく変わります。
「空気感」をどこまで捉えるか
ここで象徴的な存在として挙げたいのが
SHURE SM7B です。
海外ポッドキャスターに絶大な人気を誇る一方で、
「思ったより良くない」「難しい」という声も少なくありません。
なぜ評価が分かれるのか?
最大の理由は 感度の低さ にあります。
SM7Bはダイナミックマイクの中でも特に感度が低く、
しっかりと音を拾うためには かなり口元に近づけて使う必要 があります。
その結果、
- 部屋鳴りがほとんど入らない
- 非常にデッドでタイトな音になる
という特徴が生まれます。
これは
「雑音が少なく、プロっぽい音」
というメリットである一方、
- 無機質
- 業務的
- 少し固い印象
を与えてしまうこともあります。
日常会話には、実は“響き”がある
私たちが普段聞いている会話の音声には、
必ずと言っていいほど 適度な空間の響き が含まれています。
あまりにデッドな音は、
- 音質は良い
- でも距離感が近すぎる
- リラックスしづらい
と感じることもあります。
特にポッドキャストのように
「ながら聴き」が多いコンテンツでは、
自然さ・親しみやすさ が非常に重要です。
コンテンツに合わせたマイク選びを
だからこそ、
「とにかく評価が高いマイクを選ぶ」
のではなく、
どんな番組なのか?
どんなテンションで聴いてほしいのか?
を基準に考えるのがおすすめです。
コンテンツ別・おすすめマイク傾向
真面目系・解説系コンテンツ
- ビジネス
- 教育
- ナレーション系
おすすめ傾向
- ダイナミックマイク
- 口元近くでのオンマイク収録
狙い
- 情報の明瞭さ
- 無駄な響きを抑える
バラエティ・トーク系コンテンツ
- 雑談
- 複数人トーク
- ラジオ的な雰囲気
おすすめ傾向
- グースネックマイク
- スモールダイアフラムコンデンサーマイク
狙い
- 適度な空気感
- 自然な距離感
上質・世界観重視コンテンツ
- ドキュメンタリー
- 落ち着いた対談
- 高級感を演出したい番組
おすすめ傾向
- ラージダイアフラム・コンデンサーマイク
- チューブマイク
狙い
- 声の質感
- 温かみ・奥行き
具体的なおすすめ機種
ダイナミックマイク
- SHURE SM7dB
感度の低さを解消するブースター内蔵。オフマイクで使用すれば適度に部屋鳴りも入る。 - SHURE MV7+
SM7Bの思想を継承しつつUSB対応。自宅収録との相性が非常に良い。
グースネック / 小型コンデンサー
- TASCAM TM-95GN
机上設置がしやすく、トーク向け。自然な距離感。 - sE Electronics sE8
非常にナチュラルで解像度が高く、空気感の表現が得意。
上質なコンテンツ向け
- RODE Broadcaster
声の芯をしっかり捉えつつ、ラジオ的な太さがある。 - audio-technica AT4060a
チューブ特有の艶と奥行き。世界観重視の番組に最適。
まとめ
ポッドキャスト用マイク選びで大切なのは、
- 高いか安いか
- 有名かどうか
ではなく、
「その番組らしい音になっているか」
という一点です。
聴き手がリラックスできる音。
長時間聴いても疲れない音。
それを基準に選ぶと、
マイク選びはぐっと楽しくなります。






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