医療シンポジウムや講演会では、会場参加者だけでなくオンライン参加者にも分かりやすい配信が求められます。一方で、病院や大学などの施設ではセキュリティ上の制約が多く、「持ち込みPCがネットワークへ接続できない」「既存設備を活用しなければならない」といった課題も少なくありません。
今回は、病院で開催された医療シンポジウムにて、2カメラ・スライド共有・Zoom配信を組み合わせたハイブリッド配信を担当しました。事前の下見から当日のトラブル対応まで、実際の現場をご紹介します。
案件概要
今回担当したのは、リアル会場とリモート参加者を組み合わせたハイブリッド形式の医療シンポジウムです。
プログラムは、
- 登壇者による講演
- パネルディスカッション(シンポジウム)
の2部構成。
オンライン参加者からも質疑応答が行われるため、会場の映像・音声・スライドを高品質に配信できる環境が求められました。
会場環境
今回の会場には、院内LAN(有線LAN)が整備されていました。
ただし、病院という施設の性質上、セキュリティポリシーにより持ち込みPCの接続は禁止されていました。
そのため、
- 病院PCをZoomホストとして使用
- 当社機材は映像・音声の入力を担当
という構成でシステムを設計しました。
また会場には、
- ワイヤレスマイク
- プロジェクター
- 常設音響設備
が設置されていたため、新たに機材を追加するのではなく、既存設備を最大限活用する形で構築しています。
機材構成

今回使用した主な機材は以下の通りです。
- HDMI分配器
- Roland VR-1HD
- Roland V-02HD
- PC2台(スライド出力・配信モニター)
- カメラ2台
- HDMIエクステンダー2台
- マルチケーブル
結線図はこちら
スライドをそのまま高画質で配信
PowerPointの映像はHDMI分配器で2系統へ分配しました。
- 1系統 → 会場プロジェクター
- 1系統 → VR-1HD HDMI入力
VR-1HDではスライドをPinP(ピクチャー・イン・ピクチャー)表示にすることで、登壇者の映像と資料を同時に配信しています。
会場では見やすく、オンライン参加者にも資料が読みやすい構成となりました。
スケジュール
今回の案件では、本番前に現地下見を実施しました。
実際に会場設備へ接続し、
- 映像経路
- 音声経路
- Zoom接続
- スライド共有
を一つずつ確認しています。
ハイブリッド配信では、本番当日に初めて接続すると想定外のトラブルが発生することがあります。
そのため、事前検証は非常に重要な工程です。
下見で判明した課題
2重出力問題
最も大きな課題はマイクの音声が2重に出力される問題でした。
会場側ミキサーにはSUB OUTがあり、ワイヤレスマイクだけを配信用へ送ることができます。
しかし、プロジェクター用HDMI音声もミキシングされる構成となっており、
ワイヤレス受信機→ミキサー→SUB OUT → VR-1HD → HDMI AUDIO → 会場設備 → ミキサー → スピーカー
と2重に音が入る状態となりました。
その結果、
HDMI経由の音声が少し遅れて戻り、エコーのように聞こえる現象が発生しました。
VR-1HDの仕様上、MIC INの音声はどうしてもMAIN MIX = HDMI OUTから出てしまうようです。
そこで、VR-1HDのHDMI AUDIOをMUTEに設定し、HDMIからは一切音を出さない方向で対策を実施。
ワイヤレスマイクの音声は、会場のミキサーから出力されるため、問題なく使用できました。
Zoomブラウザ版ではスライドが読めない
もう一つの課題がZoom環境でした。
当初、病院PCにはZoomアプリがインストールされておらず、ブラウザ版のみ利用可能な状態でした。
ブラウザ版では、
- 第2カメラ共有が利用できない
- 外部カメラ配信時の画質が大きく低下する
という制約があります。
実際に検証したところ、
スライドの文字が判読できないレベルまで画質が低下してしまいました。
対応方法
本番までに病院側へご協力いただき、Zoomアプリをインストールしていただきました。
これにより、
- 高画質な画面共有
- 第2カメラ指定
が可能となり、スライドを鮮明な状態でオンライン参加者へ配信できました。
これからZoom配信を検討される方へ
スライドを使う講演会ではZoomアプリが重要です
PowerPointやPDF資料を配信する場合は、スライドを高画質で配信できる環境が重要になります。
Zoomブラウザ版では画質や機能に制限があるため、Zoomアプリの利用をおすすめします。
もし施設の制約によりZoomアプリの導入が難しい場合でも、
- 持ち込みPC
- モバイル回線
- 映像スイッチャー
を組み合わせた代替構成をご提案できます。
施設のネットワークは事前確認がおすすめです
学校・病院・企業では、
備え付けのLANポートへ外部PCを接続できないケースがあります。
ハイブリッド配信を予定されている場合は、
- 外部PCの接続可否
- Zoomアプリの利用可否
- HDMI入力の仕様
- 音声出力方法
を事前に管理担当者へ確認しておくことで、当日のトラブルを大きく減らすことができます。
マルチ回線ルーターでの運用も可能です
セキュリティが厳しい場合、当店持ち込みPCとマルチ回線ルーターの手配も可能です。

マルチ回線ルーターとは?
Zoomなどを使用したハイブリッド会議では、会場のインターネット回線が途切れると、オンライン参加者との映像・音声も途切れてしまいます。
そこで重要になるのが、複数のインターネット回線を利用できる「マルチ回線ルーター」です。
複数の回線を用意して、通信トラブルに備える
一般的な会議では、会場の有線LANやWi-Fiなど、1つのインターネット回線を使って配信します。
しかし、その回線に障害や通信不良が発生すると、オンラインとの接続を維持できません。
マルチ回線ルーターを使用すると、たとえば
会場の有線LAN + 5G/4G回線
といったように、異なるインターネット回線を組み合わせることができます。
メイン回線に問題が発生した場合に、別の回線へ切り替えられる構成にしておくことで、1回線だけに依存する場合と比べて通信トラブルのリスクを抑えられます。
医療シンポジウム・講演会の配信もお任せください
当社では、病院・大学・企業・学校など、それぞれの施設環境に合わせたハイブリッド配信をご提案しています。
既存設備を活用したシンプルな構成から、2カメラ・スライド共有・Zoom運用までワンストップで対応可能です。
「院内LANが使えるかわからない」「既存設備で配信できるか不安」といった場合も、事前下見から本番までサポートいたします。お気軽にご相談ください。


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