楽器店勤務を経て、現在は映像制作も行っています。
発表会やセミナーなど、「失敗が許されない記録系の撮影」が案件の大半です。

今回レビューするTASCAM FR-AV2は、
スペック表を見ると目新しさよりも「堅実」な印象のレコーダーですが、
実際の現場では撮影スタイルそのものが変わった機材でした。
忙しい現場でも「音を気にしなくて済む」安心感
FR-AV2を使って一番感じたのは、
音量調整をシビアにしなくて済むことで、映像撮影に集中できた
という点です。
特に、
- 演目数が多い発表会
- ダイナミクスの幅が大きい演奏
- ワンオペレーション
こうした条件が重なる現場では、
「音声が気になってカメラに集中できない」ことが少なくありません。
32bit Float対応が“効いた”瞬間
FR-AV2は32bit Float収録に対応しています。
機能としては珍しくありませんが、
現場で効いたのはここでした。
- 演目ごとに音量差が激しい
- 合奏 → ソロ → 合奏 を繰り返す
- 常時レベルメーターを見る余裕がない
従来のレコーダーでは、
- 音割れしないか
- 小さすぎないか
- 次の演目で調整が必要か
と、どうしても音声に意識を持っていかれます。
FR-AV2では、
- ゲインを極端に追い込む必要がなく
- 音割れを過度に心配することもなく
- 「録れている前提」で映像に集中
できました。
これは、
ワンオペ撮影では想像以上に大きな差です。
現場レビュー(要約版)
広島県三原市・512席ホールでの
バイオリン教室発表会(演目40以上)をワンオペで収録。
- 三点吊りマイクをFR-AV2に直結
- ファンタム電源供給も問題なし※
- 6時間超の収録でも音声トラブルなし
※電源はUSB端子より供給。電池はバックアップとして使用。
結果として、
音声監視に神経を使わず、カメラ2台の運用に集中できた
というのが率直な感想です。
👉 詳細な現場構成はこちら
数あるレコーダーの中で、FR-AV2を選んだ一番の理由

コンパクトさが、現場の設置ストレスを消してくれた
FR-AV2を選んだ最大の理由は、
32bit Floatでも、タイムコードでもなく「サイズ感」です。
現場では、レコーダーの置き場所に毎回悩みます。
- 三脚を1本増やすか
- ステージ脇に置くか
- カメラのそばにまとめたいか
特にワンオペの場合、
「レコーダー専用の設置」を考える時間と労力は、
想像以上にストレスになります。
カメラの上にマウントできるという選択肢

FR-AV2は非常にコンパクトで軽量なため、
- カメラ上にマウントしても
- 重心が大きく前に寄らず
- カメラがお辞儀しにくい
という点が、実際の運用で大きなメリットになりました。
カメラバッグから出して、
「とりあえずカメラの上に載せる」
これができるだけで、
設営のスピードと気持ちの余裕がまったく違います。
レコーダー用三脚が不要になるメリット
FR-AV2をカメラ上にマウントできることで、
- レコーダー用の三脚が不要
- ケーブル取り回しもシンプル
- 設営・撤収が早い
結果として、
機材は減っているのに、やっていることは増えている
という、理想的な状態になります。

XLR入力は2系統。でも、それがいい
FR-AV2のXLR入力は2系統です。
多チャンネル収録が必要な現場では、正直向いていません。
ただ、私の案件では、
- 三点吊りマイク(L/R)
- もしくはマイク+バックアップ
という構成がほとんどです。
その前提で考えると、
2chに割り切ったからこそ、このサイズ感が実現している
と感じます。
多入力・多機能なレコーダーも魅力的ですが、
その分、
- 大きくなる
- 重くなる
- 設置場所に悩む
という問題も出てきます。
「置き場所に悩まない」ことは、立派な性能
FR-AV2は、
- 音が良い
- 機能が多い
というよりも、
置き場所に悩まないことで、現場の思考リソースを奪わない
レコーダーだと感じています。
忙しい現場では、
この「考えなくていい」という要素が、
何よりも価値になります。
FR-AV2が向いている人
- 2CHのみの収録で良い
- 発表会・舞台・セミナー撮影が多い
- ワンオペ or 少人数で現場を回している
- 音声トラブルの不安を減らしたい
- タイムコード同期を導入したい
逆に、
- 短時間のVlog
- 音声1chのみの簡易撮影
であれば、オーバースペックかもしれません。
まとめ
FR-AV2は決して安いレコーダーではありません。
ただ、
- 音声監視の負担が減り
- ワンオペでも安定した収録ができ
- カメラ台数を増やす余裕が生まれる
と考えると、
仕事の単価・クオリティを底上げしてくれる機材
だと感じています。



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