「カラオケ配信における最強の機材を」とのことでリクエストがありましたので、今回は
とことん音質にこだわったカラオケ配信の方法についてご紹介いたします。
はじめに
本記事はかなりマニアックな内容となっております。
初心者の方で、とにかく簡単にカラオケ配信をしたい!という方には、YAMAHAのAG03mkII/AG06mkIIをお勧めいたします。
AG03mkII/AG06mkIIには、カラオケに必要なリバーブ機能・ダイレクトモニター機能・ミキシング機能を兼ね備えています。
より高度な音作りをしたい方に
今回は、AG以外の機材でとのことでリクエストがありましたので、
音楽制作向けのオーディオインターフェイスを使ってカラオケ配信をする方法をご紹介いたします!
難点は「リバーブ」をどうするか
歌の配信に欠かせないのがリバーブ。
YAMAHA AGのようなミキサー型のオーディオインターフェイスにはリバーブが内蔵されていますが、
制作向けのオーディオインターフェイスには殆どリバーブエフェクトが内蔵されていません。
DSP内蔵のオーディオインターフェイスを使用する方法もありますが、本記事では別のアプローチで解決策をご案内いたします。
ひと昔前であれば、ラック型の高品質なリバーブが多々ありましたが、昨今ではめっきり無くなってしまいました。
デジタルミキサーの普及やDAWの普及により、専用機の需要が激減したことが一因として考えられます…
ライブ向けのペダル型エフェクターは、数種類ありますが、今回は”高音質”がテーマなので、リバーブにも拘ってみます。
VSTプラグインを使う
おすすめは「VSTプラグインをリアルタイムで使う」方法です。
VSTプラグインは、DAWで使うイメージが強いのですが、VSTホストを使うことで、ライブでもVSTプラグインを使うことができます。
izotopeのRX10といったノイズ除去プラグインも使えます!
VSTホストもいくつかありますが、
「LiveProfessor」
「Blue Cat’s PatchWork」
の2つはPAの現場においても実績のあるソフトです。
私は「LiveProfessor」を使用しています。
録音機能やシーケンス機能を排除しているため、動作が軽いのが特徴。
配信やPAでVSTプラグインを使うなら、LiveProfessorがお勧め!
接続例
VSTホストを使って配信をするなら、配信用とVSTホスト用でPCを分けるのがお勧め。
接続例は下記のようになります。
VSTホストと配信PCを分けることで、負荷が分散できます。
カラオケの音源はVSTホスト用のオーディオインターフェイスに接続しましょう。
どんなオーディオインターフェイスが良いのか?
カラオケ配信をするなら、入力は4CH、出力も4CH以上あると理想的です。
なおかつ、レイテンシー(遅延)が低いものである必要があります。
レイテンシーは、仕様書に記載が無いので実際に試してみるしかありません。
海外のサイトでは、有志の方がレイテンシーの実数値を公開していますので、参考になるかと思います。
参考キーワード Audio Interface LLP ( Low Latency Performance ) Database
私のテスト環境下ではApogee DUET3を使用、レイテンシーは7.5ms(128sample)程でした。
7.5ms程の遅延は、感覚の鋭い方だと気になるかもしれません。
私の場合は、リバーブを掛けたら全然普通に歌えました。
理想は5ms以下に抑えたいですね。
VSTプラグインの遅延について
経験のある方なら気になる”VSTの遅延”
M1 mac book proでの検証では、遅延は少なく実用範囲内だと思いました。
負荷のかかりやすいリバーブエフェクトも、レイテンシーは5ms程とギリギリ違和感の無いレベル。
どちらかというと、VSTプラグインの遅延よりも、
オーディオインターフェイスの遅延の方が気になる印象です。
DSPエフェクトを使う方法
UADのDSPエフェクトを使うことで、より確実に低遅延のシステムを構築できます。
ただし、izotopeのRXには対応していないので、RXを使ってノイズ除去をするなら上記のVSTホストは必須となります。
つまり、RXを使用する以上、オーディオインターフェイスを経由することになるので、
オーディオインターフェイス分の遅延が出てしまいます。
一方、VSTホストの遅延はそれほどでも無い。となると、DSPのメリットは薄くなってしまいます。
強いて言うならば、お好みのDSPプラグインがあった場合。
とは言っても、UADもネイティブプラグインに対応し始めているので、考えものです。
まとめ
- VSTホストを使うことで、低レイテンシーなシステムが構築可能
- プラグインによるが、M1 mac book proなら、内部の遅延はかなり少ない
- オーディオインターフェイスの遅延が肝。
ローレイテンシーデータベースを見て、128sampleで5ms以下の製品を選ぶ - 好きなDSPエフェクトがあるなら、UADシステム一択
- 個人的には、DSPに拘る必要は無いと思う
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